ベンチャー企業といっても、事業の中身も、会社の段階も、働き方も一社ずつ違います。だからこそ、「どうやって選べばいいのかわからない」と感じる人も多いと思います。

この記事では、ベンチャー企業を選ぶときの見方を、事業・資金・市場・組織・フェーズに分けて紹介します。あわせて、成長しているベンチャー企業に共通する特徴、入る前に確認したいポイント、会社の探し方もまとめます。

ベンチャー企業を選ぶ前に、自分の軸を決める

会社を見比べる前に、自分が仕事で何を大切にしたいのかを整理しておくと、選びやすくなります。

  • どんな事業や分野に関わりたいか
  • 幅広い仕事を経験したいか、一つの専門を深めたいか
  • 働く時間や場所、休日について、譲れないことは何か
  • 入社後、どんなふうに教わり、育っていきたいか

軸がはっきりしていると、会社の説明を聞いたときに「自分に合いそうか」を判断しやすくなり、面接で聞きたいことも見えてきます。

将来性からベンチャー企業を選びたい場合は?

ベンチャー企業を選ぶとき、多くの人が気にするのが将来性です。とはいえ、将来のことは誰にも断言できません。ここでは、将来性を考えるうえで手がかりになる見方を紹介します。

ファイナンス面で選ぶ

まず見ておきたいのが、お金の面です。新しい事業に先に投資しているため、しばらく赤字が続くベンチャー企業もあります。赤字かどうかだけで判断するのではなく、何にお金を使っていて、今後どうしていこうとしているのかを見ることが大切です。

上場していない会社は、決算の情報が公開されていないことも多いものです。面接などの場で、事業の状況や今後の計画を聞いてみましょう。率直に説明してもらえるかどうかも、判断の材料になります。

マーケットで選ぶ

その会社が取り組んでいる市場も見てみましょう。どんな人の、どんな困りごとを解決しようとしているのか。その困りごとを抱える人は今後増えていきそうか。

「伸びている分野だから安心」とは言い切れませんが、会社がどんな市場で、なぜその事業に取り組んでいるのかを自分の言葉で説明できるくらいまで調べてみると、その会社への理解が深まります。

事業内容で選ぶ

次に、事業の中身です。その会社のサービスや商品は、ほかと比べてどんなところが選ばれているのか。何が収益の柱になっているのか。

ホームページや記事の情報だけでは判断が難しいこともあります。実際にサービスを使ってみたり、その業界で働いている人の話を聞いたりすると、外からは見えにくい部分がわかってきます。

組織で選ぶ

事業に加えて、どんな人たちが働いているのかも大切です。

  • 経営者はどんな考えで事業に取り組んでいるか
  • どんな経歴や専門を持つ人が働いているか
  • 新しく入った人を、どう教え、どう支えているか

人が増えていく時期の会社では、仕組みやルールを整えながら組織が変わっていきます。そうした変化にどう向き合っているかを聞いてみると、会社の考え方が見えてきます。

フェーズで選ぶ

ベンチャー企業は、事業の段階(フェーズ)によって、社内の体制や求められる役割が大きく変わります。分け方は決まったものではありませんが、ここでは一例として3つに分けて紹介します。

創業期

事業のアイデアをもとに、少人数でサービスをつくり、事業の形を探っていく段階です。仕組みやルールはまだほとんどなく、一人ひとりが幅広い役割を担います。

この段階で学生のインターンや新卒を受け入れている会社もあります。仕組みが整う前の段階なので、誰に教わり、困ったときに誰に相談できるのかを、特にしっかり確かめておきましょう。

成長期

事業の形が見えてきて、人や資金を増やしながら、事業を広げていく段階です。人が増えるのに合わせて、チームの形や仕事の分担が変わっていきます。会社のビジョンに共感し、変化を楽しみながら働ける人が力を出しやすい時期です。

安定期

事業が軌道に乗り、収益が安定してきた段階です。制度や組織の仕組みが整ってくる一方で、新しい事業の立ち上げや、今の事業の改善にも取り組んでいきます。さまざまな経験や専門を持つ人が活躍しやすくなります。

どのフェーズが良い・悪いということはありません。自分がどんな環境で、どんな経験を積みたいのかに合わせて考えてみてください。

成長しているベンチャー企業に共通する特徴

では、成長しているベンチャー企業には、どんな共通点があるのでしょうか。どれも「これがあれば必ず成長する」という条件ではありませんが、会社を見るときの手がかりになります。

小さく始めて、改善を重ねている

新しいサービスが受け入れられるかどうかは、最初から完全にはわかりません。成長している会社の多くは、いきなり大きな市場を目指すのではなく、まず限られた範囲で試し、利用者の反応を見ながら改善を重ねています。

外からの意見を取り入れる仕組みがある

利用者や取引先、投資家、社外の専門家などからの意見を受け止め、サービスや事業の進め方に生かしている会社は、方向を修正しやすくなります。社内でも、立場にかかわらず意見を出し合える場があるかどうかは、会社を見るときのポイントです。

事業の軸がはっきりしている

立ち上げの時期は、いくつもの取り組みを並行して試すことがあります。そのうえで、自分たちが何に力を注ぐのかを見定め、事業の軸を定めている会社は、限られた人や資金を集中して使えます。「この会社は何をしている会社か」を一言で説明できるかを考えてみると、見えてくるものがあります。

利用者とのつながりを大切にしている

知名度がまだ高くない会社にとって、サービスを使ってくれる人との関係は大きな支えです。利用者の声を直接聞く機会をつくったり、利用者同士がつながる場を設けたりして、関係を築いている会社もあります。

良いことも課題も発信している

どんな会社にも、うまくいく時期とそうでない時期があります。良いニュースだけでなく、今向き合っている課題や、それにどう取り組んでいるかも発信している会社は、社内外から信頼を得やすく、意見も集まりやすくなります。

ベンチャー企業を選ぶ上で注意すべきポイント

将来性や成長の特徴に加えて、自分が安心して働けるかどうかも確かめておきたいところです。ベンチャー企業で働くメリット・デメリットは「ベンチャー企業で働くメリット・デメリットとは?新卒で入る前に確認したいこと」で紹介しているので、ここでは選ぶときに確認したいことに絞ります。

労働条件を書面で確認する

給与の内訳、労働時間、休日、時間外に働いた分の扱いは、内定が出たら労働条件通知書などで確認しましょう。求人票や面接で聞いた内容と違う点があれば、入社前に確かめておくと安心です。

育成と相談の仕組みを聞く

特に新卒や未経験で入る場合は、入社後、最初にどんな仕事から始めるのか、誰に教わり、困ったときに誰に相談できるのかを聞いておきましょう。仕事を振り返り、フィードバックをもらう機会があるかも大切です。

任される仕事の範囲を確認する

ベンチャー企業では、募集されていた仕事以外を担当することもあります。どのくらいの範囲まで担当する可能性があるのか、そのときに仕事量はどう調整されるのかを聞いておくと、入社後の戸惑いを減らせます。

実際に働いている人の話を聞く

ホームページや口コミだけでは、わからないことも多いものです。社員の話を聞いたり、インターンやアルバイトで実際に働いてみたりすると、入社後に「思っていたのと違った」と感じることを減らせます。

危ないと言われる理由や、安心して働ける会社の見極め方は、「ベンチャー企業は危ないの?きついと言われる理由と、安心して働ける会社の見極め方」で詳しくまとめています。

優良ベンチャー企業の探し方とは?

最後に、ベンチャー企業の主な探し方を紹介します。一つの方法だけに頼らず、いくつかを組み合わせると、自分に合う会社に出会いやすくなります。

就活エージェント

担当者と面談し、自分の希望に合いそうな会社を紹介してもらう方法です。「ベンチャー企業に興味はあるけれど、まだ漠然としている」という段階でも、話しながら希望を整理できます。紹介される会社はサービスによって違うので、紹介された理由も聞いてみましょう。

合同説明会

多くの会社の話を一度に聞けるので、ベンチャー企業どうしを比べやすい方法です。気になる会社があれば、その場で社員に質問してみてください。

逆求人サイト

プロフィールや経験を登録しておくと、関心を持った会社から連絡が届くタイプのサービスです。自分では見つけられなかった会社を知るきっかけになります。届いた連絡は、なぜ自分に声をかけてくれたのかを確かめながら、検討してみましょう。

ベンチャー企業に特化した求人サイト

ベンチャー企業やスタートアップの求人を中心に扱っているサイトもあります。事業の段階や分野で探しやすいのが特徴です。幅広い会社を扱う就職情報サイトでも、条件を絞り込めばベンチャー企業を探せます。

大学のキャリアセンター

大学のキャリアセンターにも、さまざまな会社の求人や説明会の情報が集まっています。卒業生の就職先の情報や、相談の窓口もあるので、一度問い合わせてみましょう。

インターンやアルバイト

インターンやアルバイトを募集しているベンチャー企業もあります。働きながら、事業の進め方や一緒に働く人の雰囲気を知ることができ、自分に合うかを確かめる近道にもなります。

企業の公式サイトから直接問い合わせる

関心のある会社が決まっている場合は、公式サイトの採用ページを確認したり、問い合わせたりする方法もあります。募集を出していない時期でも、説明を聞かせてもらえることがあります。なぜその会社に関心を持ったのかを伝えられるように、事業について調べてから連絡しましょう。

ベンチャー企業向けの表彰や受賞歴で調べる

国や自治体、民間の団体などが、ベンチャー企業を表彰する取り組みもあります。受賞した会社の一覧は、知らなかった会社を知るきっかけになります。ただし、受賞しているかどうかで働きやすさまではわからないので、ほかの方法とあわせて確かめてください。

まとめ

  • ベンチャー企業を選ぶ前に、自分が仕事で大切にしたいことを整理する
  • 将来性は、ファイナンス・マーケット・事業内容・組織・フェーズに分けて見る
  • 成長している会社には、小さく始めて改善している、意見を取り入れる仕組みがある、事業の軸がはっきりしている、課題も発信している、といった共通点がある
  • 労働条件、育成と相談の仕組み、任される仕事の範囲は、入社前に確認する
  • 探し方はいくつかを組み合わせ、実際に話を聞いたり働いてみたりして確かめる

一社ずつ違うからこそ、自分の軸を持って、実際に確かめながら選んでみてください。