こんにちは。Nogifa編集部です。

FAST-UPは「答えは教えない」「自分で挑戦すると決めることが大切だ」と語っています。その一方で、毎日3時間の個別特訓や毎日のミニ模試など、学習を続けるための仕組みを細かく用意しています。

自分で進めることを大切にしながら、なぜここまで支えるのか。本人に任せることと、こちらから教えることを、どう線引きしているのか。

今回は、FAST-UPを運営する株式会社Nogifaの代表・関根に、その考え方と、それを形にした仕組みについて聞きました。

期限のある受験で、「任せる」と「教える」をどう配分するか

編集部:

最初に、FAST-UPの設計の出発点を教えてください。

関根:

受験は、構造上どうしても結果を求められる、というところです。

試験の日は決まっていて、延ばすことはできません。本人がどれだけ成長したかとは別に、その日までに合格に必要な点数に届いたかどうかが問われます。

編集部:

その構造が、設計にどう関わってくるのでしょう。

関根:

「任せること」と「教えること」のバランスを、真剣に考えないといけなくなります。

全部を任せれば、本人が自分で気づくのを待つことになります。でも受験には期限があるので、気づく前に時間が足りなくなることがある。
反対に、全部をこちらが決めて教えれば、目の前の課題はこなせるかもしれません。ただ、言われたことをこなすだけの勉強では、大きく伸ばすのは難しいですし、受験のあとに残るものも少ない。

どちらか一方に振り切ればわかりやすいのですが、どちらでもうまくいかない。だから、そのあいだをどう設計するかを考え続けています。

志望校との差が大きい人ほど、自分で進む力が必要になる

編集部:

FAST-UPには、いまの成績と志望校のあいだに大きな差がある生徒も多く集まります。

関根:

そうですね。差が大きいということは、周りの受験生よりも大きく成績を伸ばさないといけない、ということです。
周りも勉強を進めている中で差を縮めるには、言われた分だけやる勉強では足りません。本人が自分で考えて、自分で進める時間がどうしても必要になります。

だから入塾を考えている方には、そのことをはっきり伝えます。いまの成績が志望校から遠いほど、勉強を楽しいと思えるようになるか、自分で走れるようになるかが大事になる。そうならなければ、正直厳しい。そこはぼかしません。

編集部:

そう言われると、迷う方も多そうです。

関根:

感覚ですが、お話しした方の7割くらいは、入塾しない選択をされます。

ただ、やってみないとわからないこともあります。だから、こちらが「向いている」「向いていない」を決めることはしません。厳しさも含めて全部お伝えしたうえで、やるかどうかは本人に決めてもらいます。

とはいえ、決めたからといって、次の日から一人で進められるわけではありません。ここを間違えないようにしています。

任せる前に、自分で進むための土台をつくる

編集部:

自分で決めて入塾したなら、あとは本人に任せる、とはならないのでしょうか。

関根:

なりません。必要な知識や学び方がまだ身についていない段階で「自分で考えて進めて」と言っても、迷わせてしまうだけです。
それは任せているのではなく、放置です。「放置」と「任せる」は違います。

これは生徒に限った話ではなくて、会社で一緒に働くメンバーに対しても同じだと思っています。

自分で進むための「武器」を、先に渡す

編集部:

「答えは教えない」と聞くと、何も教えないようにも聞こえます。

関根:

そこは誤解されやすいところです。自分で進むために必要な知識は、しっかり教えます。すぐに渡さないのは、本人が考えられる場面での答えです。

「どの知識があれば、この人は自分で進めていけるか」を見極めて、そこまでは支える。武器を持たせるイメージです。

英語なら、英文解釈のルール、文章を読むのに最低限必要な文法、そして単語。これがあるだけで、つまずく回数がぐっと減ります。
仕事でいえば、パソコンの使い方や、その職種に必要な最低限の知識、会社の文化やルールがそれにあたります。

インプットが苦手な人ほど、この最初の武器を丁寧に渡すことが大事です。そして武器を渡したあとは、どんどん本人に委ねていきます。

階段ではなく、坂にする

編集部:

勉強に強い苦手意識がある人の場合、どこから始めるのでしょう。

関根:

英語なら、be動詞や、形容詞と副詞の違いを、日本語で説明するところからです。

編集部:

かなり手前からですね。

関根:

苦手意識がある人がつまずくのは、たいてい段差のところです。ひとつ前があいまいなまま次に進むと、そこで止まってしまう。止まると「やっぱり自分には無理だ」という気持ちが強くなります。

だから、階段ではなく坂にするくらいのつもりで、丁寧に積み上げています。
教材をつくるときも、難易度が滑らかにつながっているかどうかを、ひとつの指標にしています。急に難しくなる箇所がなければ、止まらずに登っていける。登り続けられることが、自分で進める力の土台になります。

共通の型と、本人が決める余白

編集部:

一方で、特訓への参加やテストは必須ですよね。本人の主体性を大切にすることと、ぶつかるようにも見えます。

関根:

そう見えるのは自然だと思います。FAST-UPでは、時間を二つに分けて考えています。毎日3時間の特訓と、それ以外の時間です。

特訓は、全員に共通の型

関根:

特訓では、共通の型の中で進めます。特訓に参加する。その日に学んだことを、毎日必ず口頭で説明する。テストを受ける。

この型は、入塾前に目的も含めてお伝えしています。自分で挑戦すると決めた人が、そのために引き受ける約束のようなものです。

型があることで、勉強が苦手だった人でも知識がついてきますし、勉強の流れもわかってきます。
それに、決めているのは「特訓に来る、説明する、テストを受ける」という形の部分です。何をどう考えるかまで、こちらが決めているわけではありません。

特訓以外の時間は、本人が決める

編集部:

では、特訓以外の時間は。

関根:

そこは、あえて余白にしています。特訓以外の時間に何をどう進めるかは、コーチングの中で生徒自身が決めます。
もちろん、コーチはアドバイスをします。でも、決めるのは本人です。

自分で決めた計画なので、うまくいかなければ自分で振り返って、次に直す。それを繰り返すうちに、勉強を自分で組み立てる力がついていきます。
特訓で身につけた型を、特訓以外の時間で自分で使ってみる。そうやって、自学の時間が少しずつ本人のものになっていくように設計しています。

編集部注:卒塾生でコーチの西山さんは、塾生時代にコーチから「一人で勉強する時間のほうが長いから、本当にわからないときだけ質問してほしい」と言われたそうです。詳しくはこちらの記事で紹介しています。

答えではなく、選択肢を渡す

編集部:

生徒が計画に迷っているとき、コーチはどう関わるのですか。

関根:

答えを言うのではなく、選択肢を示します。
「Aにはこういうメリットとデメリットがある。Bはこう。どっちにしたい?」と聞く。選ぶのは本人で、選んだ理由も本人の中に残ります。その積み重ねで、自分で判断できるようになっていきます。

裁量は、少しずつ広げていく

編集部:

最初から、特訓以外の時間をすべて本人が決めるのでしょうか。

関根:

いえ。最初はしっかり支えて、できることが増えるにつれて、どんどん裁量を渡していくイメージです。
毎日の口頭説明やテストで、自分の言葉で説明できるようになった部分が見えてきます。そこから、本人が決める範囲を広げていきます。

実は、自分自身の受験もそうでした。最初はがっつり教えてもらって、途中から自分で走るようになった。
受験には期限があるので、最初から全部を任せる余裕はありません。でも、最後まで教わり続けていたら、大きくは伸びなかったと思います。その経験が、そのまま今の設計になっています。

仕組みとコーチは、自分で進むためのきっかけ

編集部:

ミニ模試やアナリティクスなど、FAST-UPにはほかにも仕組みがあります。それぞれ、生徒のどんなつまずきを想定しているのでしょうか。

関根:

一人で勉強していると、「わかったつもり」のまま進んでしまったり、そもそも机に向かうまでに時間がかかったりします。そこを支えるための仕組みです。

独自教材にはミニ模試を埋め込んでいて、必ず解くことになっています。毎日ミニ模試があるので、学んだことを本当に使えるか、その日のうちに確かめられる。毎日フィードバックが返ってくるので、わからないところを翌日に持ち越しません。

アナリティクスでは、学習時間(今日・直近7日・直近30日・累計)、連続して勉強した日数、完了したタスクの数、ミニ模試の平均点と点数の推移、科目ごとの学習の割合、学習カレンダーまで見られるようにしています。生徒本人だけでなく、保護者の方も同じ画面で確認できます。
自分がどれだけ積み上げてきたかが目に見えると、次に何をするかを自分で考える材料になります。

オンライン校では、アバターで一緒に勉強している人の存在を感じられるので、一人だと始めにくい人でも机に向かいやすくなります。

編集部:

仕組みがあることで、勉強が続く。

関根:

ただ、仕組みで勉強を続けてもらうこと自体が目的ではありません。これらは全部きっかけです。
勉強そのものが楽しくなるように、自学の時間やコーチングを組み合わせています。仕組みは、そこにたどり着くまでの入り口です。

「自分にもできる」と思える人を、隣に置く

編集部:

コーチの存在も、そのきっかけの一つでしょうか。

関根:

大きな一つです。FAST-UPのコーチは、自分も苦手意識やつまずきを経験して、それを乗り越えてきた人を中心に採用しています。
同じような場所から壁を越えた人がすぐそばにいると、「自分にもできるかもしれない」と思える。自分の経験を押し付けるのではなく、生徒の状況を理解する手がかりとして活かしてもらっています。

担当を決めるときも、志望校や性格のタイプを見て、その生徒にとってロールモデルになれるコーチを選んでいます。

「理解できた」が、次の一歩になる

編集部:

勉強が苦手だった生徒が、変わり始めるのはどんなときですか。

関根:

勉強が苦手だった人は、苦手意識がとても強いんです。「自分には無理だ」が先にある。

だからこそ、「論理的に読めた」「理解できた」という感覚を初めて持ったときが大きいと思います。勉強が楽しいと、初めて思えた瞬間です。

もちろん、それだけで次の日から一人で走れるわけではありません。でも、「自分にもわかった」という実感は、次も自分で試してみようと思えるきっかけになります。
その経験を重ねるうちに、教わる勉強が、少しずつ自分で進める勉強に変わっていきます。

合格を目標に、その先の挑戦へ

編集部:

最後に、この設計で目指しているものを教えてください。

関根:

受験期の具体的な目標は、志望校合格です。そこに必要な点数へ届くところまで、本気で支えます。

ただ、私たちが合格の先に残したいのは、「自分で挑戦すると決めて、自分の力で掴み取った」という経験です。
最初は支えられて始めた勉強でも、最後にはそう思えるようにする。その感覚を持った人は、受験が終わったあとも、自分で決めて挑戦できるようになります。そういう人を増やすために、この仕組みをつくっています。