新しい事業に挑戦しているベンチャー企業で働いてみたい、と考えている人もいると思います。一方で、「自分はベンチャー企業に向いているのかな」と迷う人も多いのではないでしょうか。

先に結論を言うと、向いている・向いていないは、能力の良し悪しではなく、どんな環境で力を出しやすいかの違いです。また、ベンチャー企業の働き方は一社ずつ大きく違います。この記事では、よく挙げられる特徴を整理したうえで、入社後に「合わなかった」となりやすいパターンと、自分に合うかを確かめる方法をまとめます。

ベンチャー企業とは?

ベンチャー企業に、法律などで決まった明確な定義はありません。一般に、新しい事業やサービスで成長を目指す、比較的若い会社を指して使われます。

規模もさまざまで、創業して間もない数人の会社もあれば、大きく成長して大手企業と同じくらいの規模になった会社(メガベンチャーと呼ばれることもあります)もあります。スタートアップとの違いや、働くメリット・デメリットは、「ベンチャー企業で働くメリット・デメリットとは?新卒で入る前に確認したいこと」で詳しく紹介しています。

向き不向きは「合う環境の違い」

ベンチャー企業に「向いていない」と言われる特徴の多くは、裏返すと、別の環境では強みになるものです。たとえば、決まった手順を正確に進められる人は、仕組みが整った職場で頼りにされます。

また、同じベンチャー企業でも、事業の段階、職種、育成の仕組みによって、求められることは変わります。ここで紹介する特徴は、「当てはまるから入るべき」「当てはまらないからやめるべき」と決めるためではなく、自分が何を大切にしたいのかを整理し、会社に確かめる手がかりとして読んでください。

ベンチャー企業に向いている人の特徴

ベンチャー企業の環境を楽しみやすいと言われるのは、次のような人です。最初から全部そろっている必要はなく、働きながら身についていくものも多くあります。

  • 変化を楽しめる
  • 自分から動ける
  • 好奇心がある
  • 学び続けたい
  • 粘り強く取り組める
  • 将来、起業や独立を考えている
  • 新しいことを考えるのが好き
  • まず試してみることができる
  • うまくいかなかったことから学べる

それぞれ見ていきましょう。

変化を楽しめる

事業が成長していく途中の会社では、仕事の内容やチームの形が変わっていくことがよくあります。変化を「落ち着かない」より「面白い」と感じられる人は、働きやすいでしょう。

自分から動ける

少人数で事業を動かしている会社では、「こうしたらいいのでは」と思ったことを自分から提案したり、周りに相談しながら進めたりする場面が多くあります。学生時代の学業やアルバイト、サークルなどで、自分で考えて動いた経験があれば、十分な土台になります。

好奇心がある

新しい分野やサービスに取り組んでいる会社では、知らないことに出会う機会が多くあります。好奇心がある人は、情報を集めたり、新しいことを覚えたりする過程そのものを楽しめます。

学び続けたい

ベンチャー企業では、一人が担当する範囲が広くなりやすく、新しい仕事を覚える機会が多くあります。できることを少しずつ増やしていきたい人には、学びの多い環境です。

ただし、「ベンチャー企業に入れば成長できる」わけではありません。振り返りや相談の機会があるかどうかで、学びやすさは大きく変わります。

粘り強く取り組める

新しい事業は、一度でうまくいくことばかりではありません。試しては直す、を繰り返しながら進めることが多いので、すぐに答えが出なくても粘り強く取り組める人は力を出しやすいでしょう。

将来、起業や独立を考えている

経営者との距離が近い会社では、事業がどう判断され、どう動いているのかを間近で見られます。将来の起業や独立を考えている人にとっては、学びの多い環境です。

新しいことを考えるのが好き

これまでにないサービスや仕組みをつくろうとしている会社では、社員のアイデアが形になる機会もあります。考えたことを人に説明し、試してみるのが好きな人は、楽しみながら働けます。

まず試してみることができる

意思決定が早い会社では、完璧な計画を立ててから動くより、小さく試して、結果を見て直すという進め方がよくとられます。考えたことをまず試してみられる人は、そのテンポに合いやすいでしょう。

うまくいかなかったことから学べる

挑戦が多い分、思いどおりにいかないこともあります。落ち込むことがあっても、何がうまくいかなかったのかを振り返り、次にどうするかを考えられる人は、経験を自分の力にしていけます。

ベンチャー企業に向いていない人の特徴

次に、ベンチャー企業の環境を「合わない」と感じやすいと言われる特徴です。どれも短所ではなく、別の環境では強みになる特徴です。当てはまる場合は、その会社でどうなっているかを確かめてみてください。

  • 決まった手順に沿って、正確に進めたい
  • 環境が大きく変わらない職場で、長く働きたい
  • 意見を言うのが苦手
  • 担当する仕事に集中したい
  • 細かいところまで丁寧に詰めたい
  • 一つの専門分野をじっくり深めたい

決まった手順に沿って、正確に進めたい

手順が決まった仕事を正確に進められるのは、大きな強みです。一方で、仕組みがつくられている途中の会社では、手順そのものを話し合いながら決めていく場面もあります。マニュアルや業務の分担がどこまで決まっているかを確認しておくと安心です。

環境が大きく変わらない職場で、長く働きたい

腰を据えて長く働きたいという考え方は、とても自然なものです。ベンチャー企業では、事業の方向転換や組織の変化が起こりやすく、そうした変化が負担に感じられるかもしれません。事業の状況や今後の計画を、面接などで説明してもらえるかを確かめてみてください。

意見を言うのが苦手

少人数の会社では、経験年数にかかわらず意見を聞かれることがあります。ただ、最初から意見を言うのが得意な人は多くありません。意見を出しやすい場があるか、若手の話を聞く文化があるかは会社によって違うので、社員の話を聞いて確かめてみましょう。

担当する仕事に集中したい

一つの仕事に集中して質を高めたい人もいます。ベンチャー企業では、担当の枠を越えて仕事を頼まれることもあるので、募集されている仕事以外にどのくらいの範囲を担当する可能性があるのかを確認しておくと、入社後の戸惑いを減らせます。

細かいところまで丁寧に詰めたい

細かい点に気づけることは、どんな職場でも頼りにされる力です。一方で、スピードを優先して「まず出してから直す」進め方をとる会社では、もどかしく感じる場面があるかもしれません。仕事の進め方や、確認の手順がどうなっているかを聞いてみてください。

一つの専門分野をじっくり深めたい

幅広い仕事を担当する会社では、一つの分野を深める機会を自分で意識してつくる必要があります。ただ、エンジニアやデザイナーなど、職種によっては専門性を深めやすい会社もあります。入社後にどんな経験を積めるのかは、職種ごとに確かめましょう。

「プライベートを大切にしたい人は向いていない」は本当?

「ベンチャー企業は仕事中心の人が多いので、プライベートを大切にしたい人には向いていない」と言われることがあります。けれど、働く時間や休日を大切にしたいのは当然のことで、向き不向きの問題ではありません。

働き方は、ベンチャー企業かどうかより、一社ずつの違いが大きいものです。労働時間の管理、休日、時間外に働いた分の扱いは、入社前に確認しておきたい点です。安心して働ける会社の見極め方は、「ベンチャー企業は危ないの?きついと言われる理由と、安心して働ける会社の見極め方」でまとめています。

ベンチャー企業に就職して「合わなかった」となりやすいパターン

ベンチャー企業に入ってから「思っていたのと違った」と感じるのは、どんなときでしょうか。よくあるパターンと、事前にできることを紹介します。

働き方が思っていたのと違った

「忙しい時期がこんなに続くとは思わなかった」「聞いていた仕事と違った」というのは、よくあるすれ違いです。労働条件通知書などで労働時間や休日を確かめ、募集内容以外の仕事をどのくらい担当する可能性があるかを聞いておきましょう。

社風が自分に合わなかった

少人数の会社では、一緒に働く人との相性や、会社の雰囲気が働きやすさに大きく影響します。雰囲気に正解はないので、会社説明会や面談で社員と話したり、インターンやアルバイトで実際に働いてみたりして、自分に合いそうかを確かめてみてください。

給料や待遇が想定と違った

給与の水準や決まり方は、会社によって大きく違います。月給の内訳(固定残業代が含まれているか、含まれている場合は何時間分か)、賞与、昇給の仕組みを確認し、「なんとなくこのくらいだろう」のまま入社しないようにしましょう。

思ったより成長を実感できない

「ベンチャー企業に入れば成長できる」と期待しすぎると、ギャップを感じやすくなります。何を身につけたいのかを自分で考えておくことと、仕事を振り返ってフィードバックをもらえる機会があるかを確かめておくことが大切です。

思ったより任される範囲が狭い

ベンチャー企業なら入ってすぐに大きな仕事を任される、とは限りません。任せ方は、会社の方針や事業の段階、育成の考え方によって違います。基礎から始めて、できることに応じて少しずつ任せる範囲を広げていく会社もあります。

入社後、最初にどんな仕事から始めて、その後どう広がっていくのかを聞いておくと、期待とのずれを減らせます。

自分に合うベンチャー企業か確かめる方法

自分が大切にしたいことを書き出す

「幅広い仕事を経験したい」「専門を深めたい」「働く時間や休日の決まりを大切にしたい」など、自分が仕事で大切にしたいことを書き出してみましょう。上で紹介した特徴を読みながら、当てはまるもの、気になるものに印をつけていくと整理しやすくなります。

会社ごとに聞いてみる

気になる会社が見つかったら、次のようなことを聞いてみてください。

  • 入社後、最初にどんな仕事から始めるのか
  • 誰に教わり、困ったときに誰に相談できるのか
  • 仕事を振り返り、フィードバックをもらう機会があるか
  • 募集内容以外に、どんな仕事を担当する可能性があるか
  • 労働時間や休日、時間外に働いた分の扱い

インターンやアルバイトで働いてみる

ホームページや口コミだけでは、わからないことも多いものです。インターンやアルバイトを受け入れている会社であれば、実際に働いてみることで、仕事の進め方や人との関わり方を知ることができます。

まとめ

  • ベンチャー企業に向いている・向いていないは、能力の良し悪しではなく、合う環境の違い
  • 変化を楽しめる、自分から動ける、うまくいかなかったことから学べる人は、ベンチャー企業の環境を楽しみやすい
  • 「向いていない」と言われる特徴も、別の環境では強みになる。当てはまる場合は、その会社でどうなっているかを確かめる
  • 働き方や育て方は一社ずつ違うので、入社前に質問したり、実際に働いてみたりして確かめる

特徴に当てはまるかどうかだけで決めず、自分が大切にしたいことを整理して、合う会社を探してみてください。