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間違いは学びになる ― ただし、正しいフィードバックがあれば

間違えるのは、気持ちのいいものではありません。テストで×がつくと、できなかった自分を突きつけられたように感じます。だから、できるだけ間違えないように勉強したくなります。

けれど学習の研究では、間違えること自体は、学びの妨げにならないどころか、条件がそろえば学びを深めることがわかってきています。その条件とは何か。この記事で整理します。

間違えてから正解を知るほうが、残ることがある

Kornell、Hays、Bjork(2009)は、問題に答えようとして思い出せなかった(間違えた)あとに正解を見せた場合と、最初から正解を見せて覚えさせた場合とを比べました。答えようとして失敗したほうが、あとのテストの成績はよい結果になりました。

正解を知る前に一度考えることで、頭の中で答えを受け取る準備ができる、と考えられています。

自信のあった間違いほど、直りやすい

意外な結果もあります。Butterfield と Metcalfe(2001)は、自信をもって答えたのに間違えていた問題のほうが、正解を知らされたあとにしっかり直りやすいことを示しました。「ハイパーコレクション効果」と呼ばれます。

「絶対これだと思ったのに」という驚きが、正解を強く印象づけるのだと考えられています。

条件は、フィードバックがあること

ここまでの話には、共通の前提があります。間違えたあとに、正しい答えを知ることです。

Metcalfe(2017)は誤りと学習についての研究を総説し、間違いのあとに訂正のフィードバックがあれば、間違いは学習の役に立ちうると整理しています。逆に言えば、間違えたまま誰にも直されなければ、その間違いは間違いのまま残るおそれがあります。

どんなフィードバックが役に立つか

Hattie と Timperley(2007)は、フィードバックの研究を広く整理し、その効果は中身によって大きく変わると述べています。課題そのもの(どこが違ったか)や、解き方の過程(どう考えればよかったか)、自分の学習の進め方についてのフィードバックは役に立ちやすい。一方で、「えらいね」「頭がいいね」のような本人への評価だけでは、学習にはつながりにくいとしています。

×をつけて終わりにしない。どこで、なぜ間違えたのかを一緒に確かめる。それがフィードバックです。

FAST-UPでやっていること

FAST-UPでは、間違いをそのままにしないことを、毎日の流れに組み込んでいます。

ミニ模試で間違えた問題は、その日のうちに対話式の講義で解き直します。教材ごとに基準点があり、届かなければ同じ教材をもう1周します。点数の推移は記録され、生徒も保護者も同じ画面で確かめられます。

コーチの口頭の質問に答えられなかったときも、コーチがすぐに正解を言うわけではありません。生徒は教材を読み直して考えを整理し、次の機会にもう一度説明します。どこが、なぜ違ったのか。それを自分で確かめるところまでが、フィードバックです。

コーチが説明を間違えることもあります。そのときは素直に認め、時間をもらって、必ず正しい答えにたどり着きます。間違えたあとにどうするかを、教える側も見せるようにしています。

まとめ

  • 正解を知る前に自分で答えようとすることは、間違えたとしても、あとの学びにつながる
  • 自信をもって間違えた問題は、正解を知ったあとに直りやすい
  • ただしそれは、間違えたあとに正しいフィードバックがある場合に限られる
  • フィードバックは「どこが・なぜ違ったか」を扱うときに役に立つ

間違えないように勉強するより、間違えたあとにどうするかを決めておくほうが、学びは残ります。

監修:関根 郁弥(株式会社Nogifa 代表取締役CEO)


出典

  • Butterfield, B., & Metcalfe, J. (2001). Errors committed with high confidence are hypercorrected. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 27(6), 1491–1494.
  • Hattie, J., & Timperley, H. (2007). The power of feedback. Review of Educational Research, 77(1), 81–112.
  • Kornell, N., Hays, M. J., & Bjork, R. A. (2009). Unsuccessful retrieval attempts enhance subsequent learning. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 35(4), 989–998.
  • Metcalfe, J. (2017). Learning from errors. Annual Review of Psychology, 68, 465–489.
この記事を書いた人

Nogifa編集部

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